2024/03/12 11:02
決まった形じゃないからいろいろ応用の効くクオーターラウンドパンチ。今回は応用編その2として肉盛り(芯入り)のストラップを作ってみました。財布や手帳、腕時計のベルトなんかによく見る作りです。作例の幅は23ミリ厚みは3.9ミリです。
材料を用意する

用意したのは写真の3枚です。左の焦茶色はミネルバボックスで厚さ1.0ミリ、幅は35ミリです。真ん中は肉盛りの芯に使う革で国産のかなり硬めのヌメ革です。厚み1.5ミリ、幅は25ミリ。右はシエナというイタリア産のオイルプルアップです。厚みは芯と同じ1.5ミリ、幅は25ミリくらいです。
各革の厚みは好みですが、芯が高め(厚め)の場合は一番上に来る革はあまり厚いと貼りずらいです。段差の部分にスキマができやすいので。同じ理由で柔らかい革が貼りやすいです。
芯の製作

芯に使う革の銀面を粗します。切り出すと小さくて粗しにくい、革が伸びるなどの理由から先に粗しておきます。
芯に幅をけがく

芯にけがく幅は完成したベルトの幅で決まります。今回は24ミリのバックルなどを想定して23ミリ幅としました。コバからステッチまでが3ミリ、ステッチと芯の間にミネルバボックスが1ミリあるのでコバから芯までの距離を4ミリとしています。よって23ー4ー4=15ミリが芯の幅になります。
幅の次に剣先の頂点になる部分と曲線から直線(幅)に切り替わる部分の印を入れます。頂点は幅のセンターです。曲線から直線(幅)に切り替わる部分は好みです。どのような形の剣先にしたいか色々なRのラウンドパンチを当ててみて決めます。大切なのは幅の左右で同じ位置に印があることです。これがズレているといびつな剣先になってしまいます。この印は後で使うので芯の方にも入れておきます。
芯を切り出す

写真で芯に使ったのはR20です。正確に言うとR19くらいで、輸送の途中で変形したのかR定規を当ててもR20なく、不良品として販売できなかったものです。
いつものようにクオーターラウンドパンチの端に当て革をして安定させます。


直線部分は定規を当てて切ります。芯はこれで完成です。お好みで面取りしたり斜め漉きしたりしますが今回はそのまま使います。
土台の製作

土台になる革の床面に完成した芯を重ねてボールペンなどで形を写します。正確でなくてもかまいません。芯から4ミリ必要なので最低でも5~6ミリは芯の周りに余裕ができるように描き入れます。
芯と土台を貼り合わせる

ボンドをそれぞれ2回塗って少し乾かします。土台の方は描き入れた中だけ塗ります。少しはみ出しても問題ありません。全体に塗ってしまうと後で線を描きにくいのでそうしています。

貼り合わせたらローラーをかけるか叩きます。曲がったベルトにする場合はこの段階で曲げて貼ります。
芯に入れておいた曲線から直線(幅)に切り替わる部分の印を土台にも延長して描き入れます。
土台に切り出しラインを描き入れる

一律、芯の外周4ミリ幅で切り出せれば良い訳です。直線部分は4ミリの真鍮ヘリ定規を使用しました。芯にピッタリ当てて剣先の方までラインを描くようにします。

剣先から4ミリの位置に、幅のセンターになっていることを確認して印をつけます。
土台を切り出す

剣先の部分から先に切り出します。この時使用するのは芯に使ったR20ではなく4ミリ大きいのでR24が正しい選択になります。しかしR24はクオーターラウンドパンチに無いためR25を使います。1ミリくらいの差であれば問題なく使えます。これが数ミリ違ってくると間隔が平行でなくなっていびつに見えます。今回は正確に言うと芯にR19を使っているので2ミリ差になります。


直線部分は真鍮へり定規を当てて切ります。芯の高さがあるので通常のアクリル定規などでは切りづらいです。切り出して土台部分は完成です。
表の革を貼る

表の革の床面に完成した土台を乗せて形を描き入れます。正確でなくてかまいません。
ボンドを塗る

表の革と土台それぞれ2回づつ塗ります。表の革は書き入れた土台の外周より少し大きく塗ります。

土台の方は芯の断面の部分にもボンドがしっかり塗られるようにします。
貼り合わせる

表の革の上に土台を乗せるように置きます。土台の革と表の革はこの段階では着いてほしくないので強く押さえないようにしています。
芯の形をだす

表の革を上にしたら芯の表面部分のみ軽くローラーをします。続いてへらなどを使って芯の断面の部分の形をだします。先に4ミリの幅の部分を強く押さえてしまうと形がうまく出せないことがあるのでしっかりと形がでるまで幅は圧着しません。
幅を圧着する

形が決まったら幅部分をしっかりとへらなどで押さえてからヤットコなどで圧着します。圧着が不十分だと磨いてきれいなコバになりません。コバ処理剤などを使う場合はその限りではありません。コバはローラーやヤットコよりもコバ用の金づちで叩くのが一番いいと思います。今回は幅が狭くうまく叩けないのでヤットコを使っています。ミネルバやプルアップのような油分の多い革の場合コバがはがれやすいので強めに圧着しました。
表の革の切り出し


土台側を上にして土台の形に合わせて表の革を切りだします。断面を垂直に切るため1.5ミリ厚の革を下に敷きます。
特に定規など使わずに土台の革をガイドにフリーハンドで切ります。剣先部分は細かく刻み切りにして後からやすりをかけます。
完成


以上で完成です。
芯の断面へのボンドの塗りが甘かったり、先に幅部分を強く貼り合わせたりするとうまく形がでないことがあります。また、その時着いても後ではがれることになります。柔らかい革の方が貼りやすく、革が硬い場合は少し薄くするとか、貼る前に揉むとかするとうまくできるかもしれません。
今回は画像で肉盛りが分かりやすいように面取りなどせずカッチリした芯で製作しました。芯の厚みや丸みなど色々試して作ってみてください。