2024/02/13 16:48

当店で販売しているネジ捻にはそのようなものは無いのですが、ガタつきのあるネジ捻は結構存在していると思います。店長が昔仕立てたお気に入りの二本もかなりすき間があってガタガタしてます。もともと大きなすき間があったというよりは使っているうちにだんだんとガタツキが出てきたという印象で、当時は気にならなかったのです。
昨今は仕立て不要のハイクオリティなネジ捻がたくさんあってそのようなガタつきに悩まされることはないのですが、昔ながらのネジ捻に多いような気がします。苦労して仕立てたそれらのネジ捻を何とか現役として使いたいと思って考えたのが自作の樹脂ワッシャーを挟み込んですき間を埋める方法です。熱々に加熱すると溶けてしまいそうですが、そこまで熱くしなければ普通に使えると思うので同じような症状のある方は試していただきたいと思います。
現状確認
まずは施工する前のガタつきのあるネジ捻を見てみましょう。このネジ捻の場合ワッシャーの外径は9ミリ、内径は4~5ミリ位だと思います。
ワッシャーと本体部分のすき間が問題です。ブレードがワッシャー方向に動いてしまいます。

こちらのネジ捻の方がすき間が大きいです。
材料選定
ワッシャーとして使う材料を探します。一番手っ取り早いのは市販の樹脂ワッシャーを一部切り欠いて使うことです。昔ながらのネジ捻の多くは調整用のネジが外せない構造のため切り欠いて横から差し込みます。ナイロン、ポリカ、テフロンなど色々な素材のワッシャーがあるのでワッシャーの内外径がちょうどよいものを見つけられれば切り込みを入れてはめ込むだけです。今回ちょうど良いサイズが見つけられなかったので自作して使う事にしました。

自作するのに使ったのはポリプロピレン板0.75ミリとPET板0.5ミリです。以前型紙に使って余っていたものです。ホームセンターなどに行くと色々な素材で0.3ミリや0.5ミリ厚の板が売ってます。写真より小さいサイズから買えると思うので色々試したい方にはいいと思います。

他にも家の中を探すと以外に使えそうな素材に気づきます。ワイシャツなどを購入したときに首周りに入れてある型崩れ防止の透明樹脂板。ポリカでしょうか?0.3ミリ前後と薄く微調整ように良さそうです。それから参考書などの問題の答え部分を隠すのに使う赤い板も使えそうです。他にも家電量販店でケーブルなどを買うと写真のような透明の樹脂板を組み立てたものに入っていることが多いです(写真は3Mのメンディングテープの箱です)。これらの素材も使えそうだなと思いました。
加工方法
加工は簡単です。ワッシャーの外径と内径のポンチを使って抜くだけ。外径9ミリは30号のポンチ。内径は15号4.5ミリが使えそうです。本来革などを抜くためのポンチですが1ミリ以下のPET板などに使う分には問題ないと判断しました。
1.板に十字を書き入れる

できるだけ偏芯しないように十字を入れてから始めます。
2.先に中央を抜く

外径を先に抜くと小さくて扱いにくいので内径から抜きます。
3.続いて外径を抜く

多少の偏芯は致し方ありません。
4.端を欠きとる

ネジを通すため欠き取りはおおよそ1/8位を目安にします。
5.取り付け

ネジを回してすき間の多く開くところを探します。もとからある金属ワッシャーの下にもぐり込ませます。薄いものから試してすき間が大きな場合は2枚入れます。今回のネジ捻は0.75ミリを1枚のものと。0.75ミリ+0.5ミリの2枚差しのものになりました。

元からあるワッシャーの下にうまく納まりました。

すき間が大きくてワッシャーを2枚挟み込んだ例。
最後に
完全にすき間をゼロにはできないかもしれません。ネジを回すときつい所とゆるい所があるのが分かると思います。しかし十分に実用に耐えるようになったと思います。苦労して仕立てた昔ながらのネジ捻。私はこの先端形状が好きです。今後ハイエンドツール達に交じって活躍することと思います。