2024/01/12 15:35

数あるレザーツールの中でもネジ捻はレザークラフト特有のツールで、他で使うことのない珍しい道具だと思います。今回はネジ捻について思いついたことを書いてみたいと思います。
まず、ネジ捻の幅決めとはどの位の幅で捻を引くかという考え方の話と、実際に幅をどう測るかという実測の話になります
ステッチライン

ネジ捻を使って目打ちのためのステッチラインを入れる場合は欲しいステッチの幅(コバからの距離)に捻を引くという単純な話になります。店長自身もそのようにして引いた捻の中央に菱目を打っています。

※左がヨーロッパ目打ち 右は岩田屋の菱目打ち

※左が岩田屋の菱目打ち 右がヨーロッパ目打ち
ところが近年ヨーロッパ目打ちの普及によって色々な捻の引き方がされるようになってきました。ヨーロッパ目打ちの先端は従来の菱目打ちに比べて平らで尖っていませんね。引いた捻の上に乗せたとき捻の幅よりヨーロッパ目打ちの刃先の幅が大きいため、刃先の中央へ捻を目測で合わせる必要がでてきます。長い距離打つとズレにつながり見栄えが悪くなるわけです。

※ステッチラインよりもコバ側に合わせる例
引いた捻のどちらか左右に目打ちを揃える方法があります。この場合ステッチラインのコバからの距離が目標の幅になるように捻を入れる位置を調整する必要があります。捻のコバ側に目打ちを合わせる場合は少し広めに捻を引く必要があり、コバと反対側に揃える場合は少し狭く捻を引く必要があります。また、糸を入れても捻が全て隠れないのであまりクッキリ入れると見えてしまう恐れがあります。

※幅広の捻に目打ちを合わせる例
他にも、目打ち先端と同程度の幅の広い捻を引いてそこへピッタリと目打ち先端を合わせる方法を使う方もいます。以前はあまり需要の無かった1.2mmや1.5mmのネジ捻が各社から発売されているのはそうした背景があるのかなと思います。
店長は普段ヨーロッパ目打ちを使っていますが先端を砥石で尖らせているので細い捻を引いています。そして飾り捻に使う場合は別に用意した少し太い捻を引けるものを使っています。太いといっても1.5mmもあるわけではなく先端もV字やU字型のものです。この辺は好みだと思います。
飾り捻

飾捻をどの位置に引くか迷うことありますよね。自分は未だに迷ってます。かなり以前はステッチ(糸)とコバの中間に飾り捻を入れていましたが、自分が鞄作りを教わったプロの方はかなりコバ寄りに捻を入れていたので真似するようになりました。
でも実際やってみると脱落することが多くて難しいので少しステッチ寄りに軌道修正。現在はステッチとコバの中間のラインとコバの中間くらい、から少しステッチ寄り、という何とも分かりにくい目安でやっています。
鞄の時はステッチを3mmにしていますが小物ですと2.5mmくらいにすることもあるのでその場合は飾り捻も少し細めにしています。

※店長のネジ捻も平行ではなかった(上が広い)
捻を引くときによく脱落してしまう方は先端が平行になっているか確認してみましょう。先端の方が開いていると手前に引いた時に脱落しやすくなります。多少ならば力技で微調整可能ですが大きい場合は削り直したほうがいいでしょう。

※自己責任で行ってください
飾り捻は飾りなので好みの幅で入れるのが基本ですが、加熱した捻を使ってクッキリ後々消えないように入れることによってコバを丈夫にする意味もあり、さらに蜜蝋を内部まで染み込ませる効果もあるので可能な限りでコバ寄りがいいのではないかと思っています。
捻幅の測り方
独学でレザークラフトを初めた当初はネジ捻の先端に定規を直接当てて幅を決めていましたが、後から試し引きして決めるように教わりました。ハギレの革に捻を引いてみて定規で測り、微調整を繰り返します。現在は写真のような幅決め定規を作り捻幅を決めています。

真っ直ぐに切ったコバに、他の革で微調整して幅決めした捻を引いて数字を入れておきます。よく使う幅を4つほど載せておけば便利です。よく使う幅が5つも6つもある方は5角形、6角形にすると良いかもしれません。ある程度厚くて硬いヌメ革がいいです。加熱してクッキリ入れると持ちがいいと思います。
ではまた。