自分がレザークラフトを始めた頃のネジ捻は加工して仕立てるのが必須でそのまま使えるようなものは無かったように思います。先端部と握り部分の両方に加工を施すとなかなかの仕事量で大変な作業でした。近年の高級ツール、特に海外製の多くは綺麗に研磨された先端と整ったハンドルですぐに使えるものがほとんどです。今回紹介するNattoolsネジ捻もそんな高級ツールの一つです。
当店のラインナップ

本来Nattoolsには0.4mmと1.2mmの二種類のラインナップがあるのですが、当店では0.4mmのモデルのみ扱っております。その理由は、1.2mmのものは先端の形状が特殊で直線部分にしか使用できないようなものだからというのが一つ。もう一つは1.2mm幅というのは少し太すぎる気がして(好みの問題ですが)扱っていないということです。
逆に0.4mmは細めですがペーパーで調整して好みの太さにするのはそう難しくないと思いす。1.2mmの捻先を細く加工するほうが大変だと考えています。
当店の扱うねじ捻に「ネジ捻1.2mm エボニーハンドル」というものがありますが、これは先端の形が実用的なとと鏡面まで研磨されているので滑らかに捻引きできることからラインナップしております。
Nattoolsにはバリエーションとして木製ハンドルを使わないオールステンレスのモデルもあるのですが、捻先を加熱して使う用途には不向きだろうということで当店にはありません。
オーソドックスな先端形状
さて本題のNattoolsねじ捻ですが、スタンダードな先端形状をしているのが好感もてます。材質は420HCステンレス鋼とそれを挟み込むような形状の木製ハンドル。個人的にはこのエイジングされたような仕上げが指紋などが目立たず見た目もカッコイイと思っています。
最大開き幅が4mmほどです。私が所有するネジ捻はどれも5mmは余裕で開くのでずいぶん控えめな感じですが、捻引きで3mm以上開くことはあまりないので良しとします。大きく開く用途にはディバイダーを使うのが賢明です。
幅を調整するネジ部分のつまみは多くの海外製と同じく丸い形状です。最大開き幅付近まで開こうとすると指が痛くなるものも多いです。従来の蝶ねじ式のほうが見た目はともかく調整しやすく私は好きです。
使ってみた感じ

手持ちの革に捻引きしてみました。コナー部分の捻入れには本体を立てて先端部のみ当てるように使えます。鏡面ほどではないですがしっかりと磨かれておりスムーズに捻が進みます。
先端部の段差は1mmほどです。薄い革へ使用する場合は下に何か引いてかさ増しするか、コーナー部分などは柔らかくて厚い革を下に敷いて捻引きするのがよいでしょう。私は段差を0.5mmほどに調整した捻を薄革専用として使っています。薄い革をよく使う方はそれ専用に1本作ると作業が楽になると思います。
ネジ捻のガタつきについて
上の二本はずいぶん前に仕立てたものです。ねじを回さなくてもすき間があってブレるので使いづらい場面もあります。固くしっかりした革ならば普通に使えます。右の長いブレードをガイドにして引けるからです。
しかし革が柔らかいと右のガイドを革のコバに強く押し当てることはできません。その場合目視で直進します。左のガタつきのあるブレードにのみ力のかかった状態になるので不安定です。Nattoolsねじ捻にそのようなガタつきはありません。ガタつきのないブレードとオーソドックスな先端形状が店長の好きなネジ捻の条件なのです。
ハンドルの好みは分かれるところ

個人差があるでしょうがハンドルはもう少し太いほうがいいと思います。太いほうが店長の好みです。
そして一番気になったのがステンレスのブレードを挟む形で装着された木製ハンドルは加熱して使えるのか?ということです。結論から言いますとアツアツに加熱しますと木製ハンドルすぐ下までアツアツになります。上の方を持たないと熱くて握れません(笑)。
使い始めは順調で平気かと思ったんですが少し放置して熱くしすぎたらなかなか冷めずに布を巻いて使うことになりました。アツアツで使う用途には向きません。少しくらい加熱しても普通に使えますが、ここは清くステッチライン専用と割り切って使うことにします。
素晴らしい先端だけにくやしいので革でも巻いて耐熱とハンドルの細さを克服してみるのもいいかもしれません。